“国民の8割は歯周病”と言われるほど、歯周病は国民的な病気のひとつになっています。歯周病は、その名の通り歯の周りの組織(主に顎の骨)の病気です。現在では、歯を失う原因の第一位が歯周病で、2位が虫歯という調査結果が報告されています。(2018年全国抜歯原因調査結果より)
歯周病の怖いところは、痛みがなく症状が進行していくところです。
歯周病は別名、“サイレントディジーズ”(静かなる病気)と呼ばれるほど痛みがなく徐々に進行していきます。
また、気づいた時には歯茎が赤く腫れていたり、歯を支えている骨がほとんど溶けていたりと症状が深刻化しやすく、最悪の場合には抜歯の診断を受けることもあります。
歯周病の原因
歯周病を引き起こす原因は、口の中にいる歯周病原因菌です。この歯周病菌たちは、口の中に溜まっている歯垢(しこう)に住み着いています。
歯磨き不足や歯並びが悪くて歯垢が残りやすい口の環境は、歯周病菌が活発になり歯周病を発病させる原因になります。口の環境以外にも、喫煙やストレスなどが原因で歯周病を悪化させてしまう可能性があります。
こんな症状は歯周病の可能性が高い
次のような症状がある場合には、歯周病になっている可能性があります。口の状態が少しでも気になったり該当に当てはまったりする方は、早めにご相談ください。
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯磨きの時に歯茎から出血する
- 口の中がねばつく
- 口臭が気になる
- 歯がグラグラ揺れている
- 食べ物が噛みにくい
- 歯茎から膿が出ている
歯周病治療の流れ
歯周病は早期に対処することで、症状が深刻化するのを防ぐことが可能です。当院では、患者様が歯周病を繰り返さないよう一人ひとりに合った治療プランを計画し、歯周病の原因を取り除いていきます。
精密な検査・診断
まずは、歯周病の検査を行っていきます。プローブといった専用の器具を使いながら、歯と歯茎の間にある溝の深さや歯茎からの出血の有無、歯の揺れなどがないかを診査していきます。また、同時にレントゲン写真の撮影をして顎の骨の量を確認し、歯周病の進行の有無を診断していきます。
ブラッシング指導
どんなに歯医者さんで歯周病治療をしても、歯磨きが不十分では歯周病は改善しません。治療に通ってもらうのも重要ですが、当院では患者様自身が”歯を守るスキル”を身につけるのを大事にしています。その身につけるスキルのひとつが、毎日の歯磨きです。口の状況は人によってさまざまで、歯磨きの仕方も患者様によって違ってきます。
当院では、歯のスペシャリストである歯科医師や歯科衛生士が患者様の歯並びや生活スタイルなどに合った歯磨きの仕方をアドバイスして、歯周病になりにくい口の環境を整えていきます。
歯石除去・SRP
歯垢が長時間口の中にあると、石のように硬くなる歯石になります。歯石は、歯の表面にこびりついて歯垢が溜まりやすくなるので、歯周病を悪化させる原因になります。
当院では、専用の機器を使って歯石を除去し、ツルツルとした歯の表面を取り戻していきます。また、歯垢や歯石は歯茎の中にも隠れています。そんな時には、SRPの処置を行います。
SRPは、歯の根に付いている歯垢や歯石などを取る処置で、歯周病治療のメインになります。SRPでは、歯の根に付着している歯垢や歯石を、手作業で丁寧に除去していきます。歯周病が進行している場合には、麻酔をして治療をするため、痛みはありません。
痛みを感じるのが怖い方も麻酔はできますので、我慢せずにおっしゃってください。
歯周病の進行度に適した治療
歯周病にはそれぞれ段階があり、進行しているほど歯の周辺の組織が破壊された状態です。歯周病の進行状況やSRP処置後の歯茎の治り具合によっては、次のような治療をする場合があります。
歯周外科治療(フラップ手術)
SRPは、歯茎の中に付いている歯石を、手の感覚や今での検査を元に除去していくのに限界があります。特に奥歯は、根の本数が多く複雑な形になっている部分に歯垢や歯石が隠れていて、歯茎がなかなか改善しないことがあります。
そんな時は、フラップ手術を行います。歯周外科治療は、歯周病が進行している部分の歯茎を切って、根を露出させた状態で歯垢や歯石を除去する手術です。歯垢や歯石が見える状態で取り除くため、歯茎の治りがよく効果的です。
投薬療法(歯周内科)
投薬療法は、歯周病菌を特定し、その菌に対して効果的な薬を使う治療法です。歯周病が重度の場合には、歯茎の出血が多くSRPの治療がなかなか進みづらいです。薬を使うことで、歯茎の腫れや出血を抑え、落ち着かせてから治療できるようになります。
当院では、ジスロマックというマクロライド系の抗菌薬を採用しています。ジスロマックは副作用がほとんどなく、安心して使用することが可能です。
歯周病と全身の関係
歯周病は口の病気ですが、近年では歯周病が原因で全身に影響を及ぼしたり、逆に全身が歯周病に与える影響があるといった研究が報告されています。
歯周病の原因菌が体の血管の中に入り込み、全身に周り動脈硬化や糖尿病などといった全身の健康に深く関わってくると言われています。
そのため、毎日の歯磨きや定期的なメインテナンスで口の環境を清潔に保つのは、口だけでなく全身の健康にも繋がってくるのです。
歯周病が影響を与える疾患
- 心臓血管疾患
- 糖尿病
- 認知症
- がん
- 関節リマウチ
- 誤嚥性肺炎
- 骨粗しょう症
- 早産・低体重児
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